
このハイムMPは現在でもアメリカの楽器メーカーが製造していまが、 これとはまったく別物で、「金管演奏の原理」p67に書かれているVカップ(口径はBach 7くらい)、オープンバックボア、 長さの短い、大きなドリルサイズ(#22ドリル)のマウスピースです。
私がこのMPに興味を持つにはこんな理由があります。
1979年のゴードンの初レッスンで、彼が私に向かって「そんなMPはダメだ。捨ててしまえ」と言われたようにゴードンもさかのぼることこれから50年程前にクラークから同じことを言われています。そしてクラークが机の引き出しをゴソゴソ探してゴードンに渡したのがこのHEIM No.1マウスピースだと聞いたことがあります。このMPを眺めているとゴードンがこのMPを使ってロングビーチのクラークの自宅でレッスンを受けていた様子が浮かんできます。
それにしてもこのMPは今一般に使われているMPとあまりにも共通項がないことに愕然としますが、「金管演奏の原理」にp8に書かれている 次のことが重くのしかかってきます。 今日、楽々と演奏をこなす一握りの演奏家はいるものの、
大半の演奏家達は悪戦苦闘しているにもかかわらず、
あの名手達が達成した演奏のレベルには近づくことも出来ない。
あの名手達が生み出した高度なテクニック、美しい音色、
果てしない持久力、高音域と低音域の両方に向かう極端に広い音域、
なめらかな楽器の扱い、素晴らしいパワーなどを超える演奏家は、
現代に至るまで誰一人いなかったという事実が我々に残るのである。
・カップはデイープストレートVカップ
・スロートは22ドリル/オープンバックボア
・リムに際立った特徴:クラークの唇にそって湾曲されている(写真左)
リムの湾曲に関してはゴードンから面白い話を聞いたことがありました。
コルネットのヴァーチュオーソ、ワルター・スミスが自身の
リサイタルの時にMPを忘れてきてしまったことがあり
ちょうどその時楽屋に居合わせたクラークに慌ててMPを
借りてステージに乗った。
そのリサイタルはいつにも増して素晴らしいものだった。
しかし演奏が終わって楽屋に引き上げてきたスミスを見て
皆が唖然とした。
というのはこのMPの湾曲は横に使うものだったがスミスは
縦に使って演奏したのだった。 マウスピースはそれほど重要ではないという逸話だと思います。
ちなみに3枚目の写真のゴールドMPはCGパーソナル。
CGパーソナルはカップ、ドリル、スロート、バックボアがこのクラークのMPのコピーで、リムだけは特殊だったためデル・スタイガーのリムにしたと聞いたことがありました。
この2本を比べると外見がそっくりなことにお気付きだと思いますが外見までコピーしていたとはびっくりです。
ゴードンがいかにクラークを尊敬していたかがよ〜くわかりました。 |