杉山 正 - ゴードンの教則本 Daily Trumpet Routine

Claude Gordon の教則本について vol.2

Daily Trumpet Routines

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左の裏表紙はゴードンが書いてくれたサイン。 
 [Remember ― If you will stay with it,  you will succeed] と書かれている。


 
金管楽器(特にトランペット)奏者についてはそこに音楽があれば多少のミスは許されると言う声もあるが、ゴードンは技術の無いところに音楽は存在しないと言い切っている。 
実際にライブコンサート、レコーディング、オーディション、コンクールなどあらゆる場面でクライマックスの時にトランペットがミスをするというのは致命的である。これこそ金管楽器プレーヤーが現場で一番要求される「ミスをしない正確さ」を習得するために、最も厳しいとされるLAのスタジオでプロとしての彼の長年の経験から生まれた教則本であり、厳しい現場をくぐり抜けて来たゴードンの真骨頂とも言える。 
ゴードンについては演奏家というよりもクリニシャンだと思われている節があるが非常に残念に思う。彼はH.L. クラークの教えに基づき、自らの経験を生かした効果のある良い練習のための教本を後世に残したいという思いから後年クリニック活動を始めたが、まず初めに素晴らしいミュージシャンであった。
 
この本はおおまかに6ページのレッスン3~31ページのレッスン25、47ページのレッスン12~144ページのレッスン38の2つのセクションに別れている。 前半は本編(後半部分)がスムースに行くためのフィジカルなトレ-ニング部分である。ここをきちんと間違いの無いようにこなさないと本編部分が異様にきつくなってしまうが、正確に為されれば後半の本編部分は驚くほど楽に勉強出来る。私も毎日の練習に必ずこれを取り入れている。私は現在ビッグバンド"Serendipity18"のリードを吹いているが、ハイGあたりが頻繁に出て来る楽譜をビッグサウンドで吹くにあたって、その音を必ずヒットさせることやライブで最後まで吹き切る耐久力等、この本の恩恵は計り知れない。これは私の知る限りどの教則本にも似ていないゴ-ドンのオリジナリティ溢れる教本で、真面目に取り組んでいるプレーヤー達には最高にお薦めできる本である。現在ロスアンジェルスで活躍しているトップスタジオトランペッターの1人で兄弟子でもあるBob O'Donnellもこの本について次のように述べている。
 

bobodonnell_2.jpgゴードンキャンプで演奏するBob O'Donnell。 
ツアーや様々な場面での体験を通して、音域、耐久力、そしてそれらを正確に演奏する事が今日の現場に必要不可欠だと知った。
クラウドは素晴らしい先生としてだけでなくこの“本物の教則本”であるDAILY TRUMPET ROUTINESを私に与えてくれた。
この本は偉大なトランペットプレーヤーになるために必要な3つの要素(音域、耐久力、正確さ)に到達するのに大変役立った。 
この教本を真剣に取り組んでいる生徒達に特に推薦します。

 
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32nd Annual IAJE International Conference Long Beach, CA. January 5-8, 2005  

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かねがね是非行ってみたいと思っていたIAJEだが、今年は馴染みのあるLA(実際にはロングビーチだが)で
開催されること、Bob Florenceに会えるという事が私を後押しした。


Patty_Clarke.jpgクラークの家の玄関先。ゴードンの写真(1937.11.26)を持っているのは奥さんのパティ Clarke_house.jpgゴードンがレッスンを受けていたクラークの家 
それにパティ・ゴードンからはゴードンがレッスンを受けていたH.L.クラークの家がロングビーチにあるから訪ねてみたらどうかとメールまでもらった。これは絶対行くしかないではないか。IAJE開催日の1日前にロングビーチへ入った私はもちろんクラークの家を訪ねてみた。彼の末裔が住んでいて、家の中を見せてくれるものと期待していたが、すでに縁もゆかりもない人が住んでいて、クラ-クの事を聞いてみても何も知らないとの返事で非常にがっかりした。自国の文化に対して無関心なのは日本に於いてはままある事だがアメリカでもこのような現状を目の当たりにするとは… あまりのがっかりさに写真も撮らずに帰って来てしまった。 ただ10代の頃のゴードンがここにレッスンに来ていた事を思って自分も同じ場所にいる事、クラークがここで「Technical Studies」を完成させたかと思うと感慨深かった。 
 
IMG_0215.JPGBill Watrous Big BandのリードTp 兄弟弟子のデニス・ファリアスそして翌日からIAJEが始まった。スケジュ-ルを見ると朝からはクリニック、昼前から夜中までコンサートがぎっしりでおまけに聴きたいものがバッティングしたりしているものだから選ぶのが大変だったが、自分がリ-ドを吹いている事もあって取りあえずビッグバンド中心に聴く事にした。初日はBill Watraus Big Band。リードTpはDennis Farias(写真左)、ゴードンの弟子だと知っていたが会うのはこの日が初めて。 コンサ-ト終了後ゴードンの話で二人で盛り上がった。 この他にBob Florence Limited Eddition, Gordon Goodwin Big Phat Band, Bill Holman Band, Gerald Wilson Orchestra, Kim Richmond Band, Frank Mantooth Tribute Bandなどを十分に堪能した。
IMG_0257.JPGソロもリードもゴキゲンなCarl Saounders 彼はとても背が高いのだが私に合わせてくれているこれらのバンドのリードTpはWayne Bergeronをはじめ、Roger Ingram,  Carl Sounders, Jon Faddisなど錚々たるプレーヤー達で、中でもCarl SoundersはBob Florenceでは5th Tpでゴキゲンなアドリブを吹きまくり、Bill HolmanではリードTpとしてきちんといい仕事をしていたのにはびっくりだった。あまりの音楽性の高さにおもわず5枚ほどCDを買ってしまったほどだ。彼のアドリブフレ-ズは流れるように美しく次から次に湧き出て来る。ぜひ聴いてみて欲しい1人だ。Carlの友人のジャズトランペッター辰巳哲也さんがメ-ルで私達が行くのを知らせておいてくれたお陰で(感謝!)Carlも私達を待っていてくれ、彼ともすぐに打ち解けて楽しい話ができた。 彼は身長190cmほどあるがカメラを向けたら私に合わせてくれた。エリック・クラプトン似の実にいいオヤジだ。(写真右) 
 
IMG_0258.JPG同級生(笑)のジョン・ファディス 
会場を歩いていると素晴らしいミュージシャンに出会うことができる。みんなフレンドリーで仲間意識があり、Bob Florenceも言っていたがまるでファンタジーランドのようだった。Dave LiebmanやJon Faddis(写真左)とも廊下でバッタリだった。私の家族が私の知らないスキにTom Kubisを含んだGordon Goodwin Big Phat Bandのメンバ-達と仲良くなっていたのには口あんぐりだったが、このように参加者全員がこの一大イベントを楽しみ、イベントホールやホテルロビー等でも行なわれている偉大なジャズミュ-ジシャン達の素晴らしいパフォ-マンスに拍手を送っていた。中でも強烈なインパクトがあったミュージシャンはサックスのEric MarienthalとトロンボーンのAndy Martinだった。Ericはリハから聴く事ができたのはラッキーだったし、本番で彼のソロプレイが最高潮に達した時の体の動きは最高にカッコよかった。 ジャズという枠を超えたスタ-性を感じた。 かたやAndy Martinもリードとしても、サイドとしても、またジャズのソロにおいても超一流で、トロンボ-ン特有のメロ-な音はもちろんだがGordon Goodwinバンドでのシャウトコーラスでは、あの強力なトランペットセクションを凌駕してAndyの音が聞こえて来た。(この二人はそれぞれ今年来日するので要チェック!)IMG_0228.JPGSal Lozano, Tom Kubis, Gordon Goodwin & Wayne Bergeron 
そんなこんなで4日間脳がスパ-クしっぱなしだったが、IAJE最後の夜に聴いたKenny Burrellクインテットのソフィスティケートされたジャズは心にしみた。 ところで今回は私にとって特別な事があった。去年52歳で亡くなったFrank Mantoothのトリビュートバンドのコンサートの時だったが、プログラムが進むにつれてステ-ジ上のプレ-ヤ-達が彼を偲んで涙を流し始めた、と同時にほとんどの聴衆も涙していた。私も涙が止まらなかった。悲しい事ではあったが会場の皆と心が通じ合ったような気がしてとても暖かい気持ちになった。この他にも今回の渡米では色々な事があり、紹介したい事も沢山あるが長くなってしまったのでまた機会があれば紹介しようと思っている。今回3年振りに訪れて感じた事は情報の取得は間接的でなく直接的でないといけないという事だ。日頃インターネットからの情報やメールなどで頻繁にやりとりしていたが、実際に生音に触れたり本場のミュージシャンに触れることによって自分が今どの位置にいるか、これから何をやって行かなければいけないかが見えてきた。CDを聴いているだけでは分からない部分も見えて来る。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

駅からG−clefまでの道順です。

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